松田綾子さん・リポート[1]
吉田 こんにちは。鹿児島県の鹿児島市内から5分くらい離れたところなんですが、吉田町というところで「吉田アイエム研究所」という会社を経営しております。吉田町の吉田です。よろしくお願いします。
松田 よろしくお願いします。私、松田綾子と申します。もともと関西一円のいろいろなスーパーマーケットやデパートの地下、普通の市場とかを回ってパワーマネキンというんですが、食料品の行商のようなことをしていたんですね。それで非常によく物が売れるということで、マニュアル本を出版したりするうちにいろんなお商売をするようになって、いまでは「売れる営業の法則」という本を出したりもしています。
今日はデパートやスーパーマーケットで働く女性の代表として、お話を伺わせていただきます。よろしくお願いします。
●本物の温泉とは?
吉田社長にお会いしたら、まっさきに今話題の温泉のことをお伺いしたかったんです。
吉田 うちのルルド温泉の事ですね。最近いろいろな温泉のニセモノが暴露されてますが、そういう問題はもう10年以上前から判っていた事なんですよ。
松田 そうなんですか。
吉田 レジオネラの問題とか循環風呂の問題とか、ほとんど大半の温泉が少量のお湯で大量の人を入浴させようとする効率だけを重視した、ごまかした温泉で、なかなか本物の温泉がないんですね。
松田 入浴剤が入っていたりしますからね。
吉田 そう、温泉という名前がつけば、みなさん当然のごとく温泉100%と思いこんで来てるわけですよね。
松田 今までは私も思っていました。
吉田 今の時代の温泉というのは、営利目的、効率を追求するがゆえに、わずか少ししかお湯が出ていないのにもかかわらず、循環装置を使って露天風呂作ったり、泡風呂作ったり、あるいは電子風呂とか打たせ湯とか、いろんなお風呂のシステムを作って、目先のものでお客さんを満足させる、そういうスーパー銭湯など、時代の流れがありますね。
松田 お湯の質とかいうことじゃなくて…?
吉田 特にアトピーの患者さんなんかが、循環風呂の、塩素で殺菌したような温泉にはいると、いちばん敏感にわかるんですよ。肌がチクチクしたり、風呂あがりに痒くなったり・・・・
松田 よけいに悪くなったりするのでしょうか?
吉田 そうです。そういう現状があったので、いろんな温泉施設に、「こういう施設を作ったらどうでしょうか?将来絶対に温泉というのが本物でなければいけないと、本物が見直される時代が来ます、だから今のうちから循環風呂を止めて本物の温泉を作ってみませんか?」とお話はしたんですが、やはりそこまで追求して行っても、目の前の売上げにつながりませんのでね。
松田 採算がとれないとか?
吉田 そうです。結果的に誰もやらないので、自分で造ってみようかなと思って5年前に営利目的でなく造ったのが私のルルド温泉なんです。
●2時間おきに、お湯を全量捨てる温泉
松田 それがルルドっていう鹿児島の温泉ですか?
吉田 そうです。日帰りの温泉なんです。特徴は2時間おきに、お風呂のお湯を全量捨てる。
松田 エエッツ?すごいですね。ほんとですか?
吉田 浴槽が2面ありまして、片方捨てている間に片方に入っていただく。交互に捨てたり新しいお湯をはったり、2時間おきに交互に全量入れ換える。
松田 それって、ぜぇ〜んぶお湯を捨てるんですか?安心ですけど、贅沢ですね。
吉田 どのようなお風呂も、浴槽のお湯そのものは、人が入ることによってかなり汚染されるんです。それに殺菌剤をいれて、いわゆる見かけだけの無菌っていうかな、それで満足させているのが現状なんです。
松田 普通の温泉は、子どもなんかが入って汚れたりするじゃないですか。そのお湯は循環していく中で殺菌されて同じお湯が戻ってきているんですか?
吉田 そうです、そうです。
松田 そうなんですか。私はてっきり新しいお湯が入ってきてると思っていました。
吉田 もちろん新しいお湯が入る場合もあります。循環風呂は、浴槽の底の部分から、或いは側面からお湯を抜くんですよ。そして髪の毛とか汚れの成分をいったん濾過して取って、そしてまた浴槽に戻すんですね。その時に温度が下がりますから、ボイラーで加熱をして戻します。温泉にいくとライオンの口なんかからジャージャー流れたりしてますでしょ。あれだけ大量のお湯が新しく入っているか?というとそうではない。
松田 濾過されたお湯がかなりまじっているのですか?
吉田 そうですね、大半は循環するお湯です。、あと人間が入ってあふれたりすることもあるし、そういう目減りした分を新しいお湯を少しだけあふれさせて補填していく。全くあふれさせないところもあるんですよ。そのへんは作り方っていうか、浴槽の設計で変わるんですけど。
●入浴剤の問題
松田 その中に入浴剤が入ったりもしていたんですね。
吉田 そうです、そうです。あの入浴剤の問題は、白っぽくみせるためになんかをいれている所があるわけですが。もともと白くなったり、黒くなったりするのは温泉が酸化して古くなったから変色するのです。透明のままのほうが、新鮮な温泉だという事の証明みたいなものですけどね。
松田 何かカン違いしている?
吉田 伝統的に白く白濁する温泉が透明になると、効果がなくなったと思うかもしれない。イメージの変化ですね。
松田 でも、塩素とかがはいると、せっかく温泉に行ってお肌をきれいにしようと思っていってるのに、塩素を塗ってたらダメですよね。
吉田 そうです。これは聞くとビックリされると思うんですが、水道水と温泉と二つ並べて、同量の塩素を入れて有効塩素量の検査すると同じ数値にならないんです。
松田 そうなんですか。
吉田 温泉のほうがたくさんの塩素を入れないと同じ塩素の残留量にはならない。殺菌能力が出ない。
松田 ということは、プールみたいにかなりの塩素が入ってるってことですね。
吉田 プールよりも温泉のほうがひどい。なぜかっていうと、温泉のなかにはミネラルっていうものがたくさん含まれています。例えば塩素を入れると、まず温泉の中のミネラルと塩素が反応するんです。塩素が消費される。水道水っていうのはミネラル分が少ない。だから塩素をいれても、そういうものと反応する絶対量が少ないので。
松田 先に殺菌作用が出てくる。
吉田 温泉は中身がある意味濃いだけに、塩素を入れたらその塩素と温泉の中のミネラルが反応するんです。それでたくさん入れないと、殺菌能力は上がってこない。
松田 お湯の温度が高いっていうことも問題ですよね?
吉田 そう!お湯の温度が上がると、塩素がガスとして抜けやすくなりますから、量はたくさん必要になる。
松田 菌は、ある程度気温が高い所が繁殖するってことはありますよね。40度前後がちょうどいい。
吉田 人肌ぐらいがちょうどいちばん繁殖しやすい。
松田 気持ち悪い〜。プールでも泳いだあと肌が荒れるじゃないですか。温泉にいったら、なんとなくぬるっとした感じが一瞬するからキレイになったような気がするんですけど。実は塩素のプ−ルに入ったのと同じってことなんですね。
吉田 温泉に塩素を入れると、泉質はがらりと変わります。土日のお客さんの多い時と、平日のお客さんの少ない時とは塩素の投入量も変わり、泉質に変化が現れます。
松田 怖い話ですね、それはかなり。
吉田 ただ目先で細菌を殺してしまえばいいという考えで塩素を入れると、温泉がただの暖かいお湯になってしまう可能性がある。少ないお湯で一日に1000人も2000人も呼ぼうとするから、そこに無理があるんですよ。
松田 お湯って昔からそんなに少ないものだったんですか?
吉田 それは、たとえば汲み上げすぎ。いろんな人が、結局人間のわがままというか、今必要だから、自然に断りもなく、必要なだけ汲んでしまおう。そういうことで結果的にみんながお湯が足りなくなる。
松田 そうなんですか。
吉田 今まで例えば500m、600mでお湯が出ていたのが、上がってこなくなったから800m、1000m掘らないと出てこない。ある限界というか溜まりがあるわけですよね。それに補給されるのは、雨が降ったりして地面にじわあ〜と浸透して補給されるものが100あったとしますよね。それを110ずつ汲み上げていけばいずれかの時に枯れてきますよね。
松田 そうですね。もう枯れかけているっていうか、いつもの深さではとれなくなっているわけですね。
吉田 そう。だからもっと深く掘らなきゃいけないとか、そういう現象は起こる。
松田 そういうのってすごくお金がいるわけですよね。その採算っていうのは、やっぱりお客さんからとらないといけないからまたいっぱい集めて、また深く掘らなきゃいけない、その繰り返しになるんですね。
●温泉にも休みが必要
吉田 うちの温泉は木曜日を定休にしてるんですよ。
それはなぜか。
人間が休みたい、じゃなくて、温泉にも休みを与えないといけない。温泉を休ませるんですよ。
で、お湯を送るパイプとかタンクとかを自動的に殺菌する。
松田 そうですよね。パイプだってカビもはえれば、掃除もしなきゃなりませんよね。
吉田 83度のお湯で、パイプからタンクの中からグルグル、それこそ循環なんですけど塩素を使わないで全部殺菌をする。
松田 熱湯消毒のようなものですね。
吉田 普通休みの時に殺菌剤を大量に使って、その殺菌剤をどうするかっていうとみんな川に流していたんですよ。
松田 え〜、川にですか?
吉田 で、川の魚が死ぬっていう事故も、現実にあった。
松田 こわいですね。
吉田 そういうことをある意味で僕は予告していたんです。こういう危険性があるっていうことを。だから、うちの温泉に限って言うなら、塩素はまったく使わないで温度を上げて殺菌をする。
それを捨てることはまったく公害にはならない。
松田 お湯ですもんね。
吉田 そういうところまで考えてやっているんですけどね。
松田 ちょうど今、入浴剤のこととか騒がれていますけど、黙っていたらわからなかったわけじゃないですか。やっぱり予見をするっていうことはすごいですね、10年も前から。
吉田 サラリーマンから独立して、僕のやってる仕事はある意味非常識なことですから、人のやらないことですもんね。なかなか人に認めていただけなくて、稼げない時代っていうのがあったんです。何でもかんでもやってた。ありとあらゆる仕事を。
松田 温泉だけじゃなくて?
吉田 温泉だけじゃなくて。いろんな仕事をやっていくなかのひとつとして温泉と出会って、温泉の持っている特殊な能力、例えば温泉水を飲むことによって血圧が下がったり、血糖値が下がったり。
或いは「じいさんも親父も兄弟もみんなハゲだけど、オレは毎日温泉に入って頭を洗っているから、オレだけははげてない。」そういう人に出会ったりして、最初は僕も「そんなバカな…」と思ってたんですけど、だんだん温泉の研究、っていうかそういう場面に遭遇すると、あながちあの人が言ってたこともウソじゃなかったんだな、と思えるようになってきて、そして作り出したのがうちの商品なんですよ。
松田 いまの社長を拝見すると、苦労なんか、みじんも感じさせませんよね?
吉田 ハッハッハッハッハ(爆笑)
僕のあだ名は、『スマイルドラえもん』と言って、笑顔がいちばんステキ!?と言われます。
ほんとは、騙された事もあるし、泣いたこともあるし、笑顔の中に隠された暗い過去もあるんですよ。もう忘れてしまったけどネ。
ハハハハハ(笑い)
ただ、今となってはそんなことも、無駄な経験はなにも無かった!!と心から信じていますよ。
すべての体験の中から、生まれだしたものなんですよ。 僕の創った製品は。
開発のきっかけは困っている人の話を聞いて、『困っている人の悩みを解決して上げたい!』この一言に尽きます。そして、出来るところまで決してあきらめないことですね。 楽しんでやってますよ。
松田綾子さん・リポート[2]へつづく>>
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